文様の彫り方 その13 ~菊菱(きくびし)、八重菊(やえぎく)~

小物・創作木彫の技法

今日は菊菱(きくびし)、八重菊(やえぎく)の彫り方を説明します。

菊の花

菊菱(きくびし)は菊の花を菱形で構成したもので、八重菊(やえぎく)は花びらを何枚も重ねて八重咲きを表現したものです。

菊菱と八重菊の木彫り完成

 

用いた彫刻刀は、キワ刀9mm、浅丸刀6mm、浅丸刀3mmの3本です。

キワ刀12mm、浅丸刀6mm、浅丸刀3mm

準備

カーボン紙ではがき大の木に菊菱、八重菊を写していきます。下絵はここ(菊菱、八重菊のPDF)よりダウンロードできますのでご利用ください。

菊菱、八重菊を木に写す

菊菱(きくびし)の彫り方

まず下図の赤線の部分にキワ刀で切り込みを入れます。

下図の青線の部分は、入れた切り込みと交わるようにキワ刀で角を丸めます。

下図の赤線の部分にキワ刀で切り込みを入れ、その切り込みと交わるように青線の部分にキワ刀で斜面を彫ります。

下図の緑線は矢印の方に向かうにつれて次第に深くなるようにキワ刀で切り込みを入れます。

下図のオレンジ色の部分は色が濃くなる方が深くなるように(中央に向かうにつれて深く)浅丸刀(6㎜)で彫っていきます。

先ほど入れたキワ刀の切り込みが消えている箇所もあるので、一定の深さで切り込みを入れなおします。

下図の青色の部分(花びらの角)を丸めていきます(または斜面に落とすだけでも構いません)。またこれを各花びらに対してほどこしていきます。

菊菱の木彫り完成

八重菊(やえぎく) の彫り方

下図の赤線にキワ刀で切り込みを入れ、青色の部分は赤線に交わるようにキワ刀で角を丸めます(菊菱と同様)。

八重菊_指示書1

下図の緑色線は矢印に向かうにつれて次第に深くなるようにキワ刀で切り込みを入れます(菊菱と同様)。

下図のオレンジ色の部分は、色が濃い方が深くなるように(中央に向かうにつれて深く)浅丸刀(6㎜)で彫っていきます(菊菱と同様)。

下図の赤色線の部分は一定の深さで切り込みを入れなおし、緑色線は矢印に向かうにつれて次第に深くなるようにキワ刀で切り込みを入れます。

八重菊_指示書4

下図の青色の部分(花びらの角)を丸めていきます(または斜面に落とすだけでも構いません)。またこれを同じ形の各花びらに対してほどこしていきます。

菱菊_指示書_花びらの角を取る

下図の緑色線は矢印に向かうにつれて次第に深くなるようにキワ刀で切り込みを入れます。

下図のオレンジ色の部分は、色が濃い方が深くなるように浅丸刀(6㎜)でお皿状に(中央に向かうにつれて深く)彫っていきます。

下図の緑の部分は、色が濃い方が深くなるように(中央に向かうにつれて深く)浅丸刀(3㎜)で彫っていきます。

下図の赤色線の部分は一定の深さで切り込みを入れなおし、その切り込みと交わるように青色の部分(花びらの角)にキワ刀で斜面を彫ります。

残りの外側にある花びらも同様に彫っていきます。

八重菊の木彫り完成

 

文様の彫り方

  1. 格子(こうし)から鱗(うろこ)
  2. 雷文(らいもん)
  3. 麻の葉、紗綾形(さやがた)
  4. 青海波(せいがいは)、七宝つなぎ
  5. 檜垣(ひがき)、組亀甲(くみきっこう)
  6. 三枡繋ぎ(みますつなぎ)、三枡散らし
  7. 流水(りゅうすい)
  8. 分銅繋ぎ(ぶんどうつなぎ)、立桶(たてわく)
  9. 山路文(やまじもん)、三筋立(みすじだて)
  10. 毛卍文(けまんもん)、五芒星(ごぼうせい)
  11. 千鳥(ちどり)、千鳥格子(ちどりごうし)
  12. 捻じ梅(ねじうめ)
  13. 菊菱(きくびし)、八重菊(やえぎく) ←現在表示しているページ
  14. 市松(いちまつ)、三崩し(さんくずし)
  15. 亀甲(きっこう)、矢絣(やがすり)