文様の彫り方 その10 ~毛卍文(けまんもん)、五芒星(ごぼうせい)~

小物・創作木彫の技法

今回もキワ刀一本で彫っていきます。

キワ刀9mm

取り組む文様は、「毛卍文(けまんもん)」、「五芒星(ごぼうせい)」です。

「毛卍文(けまんもん)」は、「唐獅子(からじし)」の身体の巻き毛を文様化したものです。

「五芒星(ごぼうせい)」は、陰陽道における魔除けの呪符として伝えられ、平安時代の陰陽師、安倍晴明との関わりの深い文様です。

 

毛卍文、五芒星の木彫り完成

どの文様にも共通していますが、彫る木の性質に合わせながら彫らなければ、きれいに彫りあげることはできません。木の抵抗を感じながら彫るとその木の性質も分かるようになります。感じながら彫るクセをつけましょう。

準備

カーボン紙ではがき大の木に毛卍文、五芒星を写していきます。下絵はここ(毛卍文、五芒星のPDF)よりダウンロードできますのでご利用ください。

毛卍文、五芒星を木に写す

1.毛卍文(けまんもん)の彫り方

今回は2種類の彫り方で毛卍文を彫っていきます。

パターン1は、三日月形の外側にキワ刀で切り込みを入れ、この切り込み交わるように外側に湾曲する曲面をキワ刀で彫っていきます。切り込みは赤色線のところに入れ、矢印方向に向かうにつれ次第に深くなるようにします。

 

何回にか分けて角度を変えて彫ることにより外側に湾曲する曲面を三日月形の中で実現しています。

毛卍文パターン1_木彫り完成

パターン2は、三日月形の内側にキワ刀で切り込みを入れ、この切り込み交わるように内側に湾曲する曲面をキワ刀で彫っていきます。切り込みは赤色線のところに入れ、矢印方向に向かうにつれ次第に深くなるようにします。

何回にか分けて角度を変えて彫ることにより内側に湾曲する曲面を三日月形の中で実現しています。

毛卍文パターン2_木彫り完成

パターン1もパターン2も曲面が滑らかになるように仕上げましょう。

毛卍文_木彫り完成

 

2.五芒星(ごぼうせい)の彫り方

星の外側にキワ刀で切り込みを入れ、この切り込みに交わるように断面を斜面に彫ります。切り込みは黄色線の箇所には一定の深さで入れ、赤色線の箇所は矢印方向に向かうにつれ次第に深くなるように入れます。

入り組んだ箇所もキワ刀の刃先できれいに仕上げて完成です。

五芒星の木彫り完成

文様の彫り方

  1. 格子(こうし)から鱗(うろこ)
  2. 雷文(らいもん)
  3. 麻の葉、紗綾形(さやがた)
  4. 青海波(せいがいは)、七宝つなぎ
  5. 檜垣(ひがき)、組亀甲(くみきっこう)
  6. 三枡繋ぎ(みますつなぎ)、三枡散らし
  7. 流水(りゅうすい)
  8. 分銅繋ぎ(ぶんどうつなぎ)、立桶(たてわく)
  9. 山路文(やまじもん)、三筋立(みすじだて)
  10. 毛卍文(けまんもん)、五芒星(ごぼうせい) ←現在表示しているページ
  11. 千鳥(ちどり)、千鳥格子(ちどりごうし)
  12. 捻じ梅(ねじうめ)
  13. 菊菱(きくびし)、八重菊(やえぎく)
  14. 市松(いちまつ)、三崩し(さんくずし)
  15. 亀甲(きっこう)、矢絣(やがすり)