文様の彫り方 その14 ~市松(いちまつ)、三崩し(さんくずし)~

小物・創作木彫の技法

今日は「市松(いちまつ)」、「三崩し(さんくずし)」の彫り方を説明します。

「市松」は色違いの正方形を交互に並べた文様です。古くから「石畳(いしだたみ)」と呼ばれていましたが、江戸時代の歌舞伎役者の佐野川市松(さのがわ いちまつ)が愛用したことより「市松」とも呼ばれるようになった文様です。

「三崩し」は、三本ずつ縦横に石畳文様のように配列した文様です。和算や易占(えきせん)に用いる算木(さんぎ)を崩したように見えることから、古くは「算木崩し」「算崩し」と呼ばれていた文様です。

市松、三崩し_木彫り完成

 

用いた彫刻刀は、キワ刀9mm、平刀6mm、平刀3mmの3本です。

キワ刀12mm、平刀6mm、平刀3mm

準備

カーボン紙ではがき大の木に市松、三崩しを写していきます。下絵はここ(市松、三崩しのPDF)よりダウンロードできますのでご利用ください。

市松(いちまつ)、三崩し_木に下絵を写す

市松(いちまつ)の彫り方

キワ刀で下図の赤線の部分に一定の深さで切り込みを入れます。

市松_指示書1

市松_切り込み

次に下図の緑色の部分に先ほど入れた切り込みと交わるように平刀(6mm)で平面を彫っていきます。最後まで彫刻刀を水平に動かすとなめらかな平面となります。

市松_指示書1

市松と三崩しの断面

市松_平面を彫る

市松_木彫り完成

三崩し(さんくずし)の彫り方

市松と同じようにキワ刀で下図の赤線の部分に一定の深さで切り込みを入れます。

三崩し_指示書1

三崩し_切り込み

次に下図の緑色の部分に先ほど入れた切り込みと交わるように平刀(3mm)で平面を彫っていきます。市松に比べると幅が狭くなり彫りにくくなりますが、できる限り切り込みときれいに交わるように彫っていきましょう。

三崩し_指示書2

三崩し_平面を彫る

三崩し_木彫り完成

文様の彫り方

  1. 格子(こうし)から鱗(うろこ)
  2. 雷文(らいもん)
  3. 麻の葉、紗綾形(さやがた)
  4. 青海波(せいがいは)、七宝つなぎ
  5. 檜垣(ひがき)、組亀甲(くみきっこう)
  6. 三枡繋ぎ(みますつなぎ)、三枡散らし
  7. 流水(りゅうすい)
  8. 分銅繋ぎ(ぶんどうつなぎ)、立桶(たてわく)
  9. 山路文(やまじもん)、三筋立(みすじだて)
  10. 毛卍文(けまんもん)、五芒星(ごぼうせい)
  11. 千鳥(ちどり)、千鳥格子(ちどりごうし)
  12. 捻じ梅(ねじうめ)
  13. 菱菊(きくびし)、八重菊(やえぎく)
  14. 市松(いちまつ)、三崩し(さんくずし) ←現在表示しているページ
  15. 亀甲(きっこう)、矢絣(やがすり)