文様の彫り方 その8 ~分銅繋ぎ(ぶんどうつなぎ)、立桶(たてわく)~

小物・創作木彫の技法

今回は「曲線」で構成された文様をキワ刀一本でシンプルに彫っていきます。

キワ刀9mm

取り組む文様は、「分銅繋ぎ(ぶんどうつなぎ)」、「立桶(たてわく)」です。キワ刀で曲線を彫る練習にぴったりです。

「分銅繋ぎ(ぶんどうつなぎ)」は、分銅(天秤で質量を量るために使う質量基準となる金属塊)を繋ぎ合わせた文様です。

「立桶(たてわく)」は、水蒸気が涌き立ちのぼっていく様子を曲線で表した文様です。

シンプルですが、木のことが分かっていないとガタガタになってきれいにはできませんので、気を抜かず取り組みましょう。

分銅繋ぎ、立涌の木彫り完成

準備

カーボン紙ではがき大の木に分銅繋ぎ、立涌を写していきます。今回は切り込む箇所のみ木に写しています(切り込む箇所は後述)。下絵はここ(分銅繋ぎ、立涌のPDF)よりダウンロードできますのでご利用ください。

分銅繋ぎ、立涌を木に写す

1.分銅繋ぎ(ぶんどうつなぎ)の彫り方

赤線(黒線上端)に切り込みを入れ、その切り込みと交わるように黒線の部分に斜面を彫っていきます。

分銅_指示書

 

断面は次のようになります。

分銅繋ぎ_断面

 

曲線の流れに合わせ切り込みを入れ、

分銅繋ぎ_切り込み
切り込み

その切り込みに交わるように斜面を彫っていきます。順目になるようにキワ刀の表刃、裏刃を使い分けながら彫っていきましょう。順目のルールが分かっていない場合は、彫るときに木から返ってくる抵抗などを手がかかりに彫っていきましょう。

分銅繋ぎ_キワの表刃で彫る
キワ刀の表刃で彫る
分銅繋ぎ_キワの裏刃で彫る
キワ刀の裏刃で彫る

分銅繋ぎ(ぶんどうつなぎ)の木彫り完成

 

2.立桶(たてわく)の彫り方

立涌も分銅繋ぎと同じ彫り方です。赤色線(黒線の左端、右端を交互になぞった線)に切り込みを入れ、その切り込みに沿って黒線部分に斜面を彫ります。

立涌_指示書

見た目は分銅繋ぎより簡単そうに見えるかもしれませんが、柾目方向に沿って彫る場合、順目が頻繁に切り替わるところがやっかいではあります。平常心で取り組みましょう。

立桶(たてわく)の木彫り完成

 

文様の彫り方

  1. 格子(こうし)から鱗(うろこ)
  2. 雷文(らいもん)
  3. 麻の葉、紗綾形(さやがた)
  4. 青海波(せいがいは)、七宝つなぎ
  5. 檜垣(ひがき)、組亀甲(くみきっこう)
  6. 三枡繋ぎ(みますつなぎ)、三枡散らし
  7. 流水(りゅうすい)
  8. 分銅繋ぎ(ぶんどうつなぎ)、立桶(たてわく) ←現在表示しているページ
  9. 山路文(やまじもん)、三筋立(みすじだて)
  10. 毛卍文(けまんもん)、五芒星(ごぼうせい)
  11. 千鳥(ちどり)、千鳥格子(ちどりごうし)
  12. 捻じ梅(ねじうめ)
  13. 菊菱(きくびし)、八重菊(やえぎく)
  14. 市松(いちまつ)、三崩し(さんくずし)
  15. 亀甲(きっこう)、矢絣(やがすり)