小物・創作木彫の技法
レリーフは2次元と3次元の中間にあたる表現で独特の難しさがあります。ただ、完全な立体物を制作するほど時間を要しませんので、彫刻刀の使い方や木の
順目・逆目を理解するのにもピッタリの彫り物です。
今回は写真のネコをレリーフとして彫る方法を紹介します。他の動物も基本的には同じ考え方で彫れると思いますので参考にしてみてください。
①彫る動物の写真を用意する
まずは写真を用意します。ご自身で飼っているペットのベストショット、
pixabayが提供している無料写真など何でも構いません。
②骨格と部位を大まかに理解する
彫る前に対象となる動物の骨格や部位について少し理解しておくと、迷いなく彫れ、自然なかたちとなりやすくなります。
上の写真の赤丸は、上から、顔、口と鼻、肩、胸と腹、尻、と各部位を表したものです。
前足と後足の骨格を描きました。今回は前足、後足を描きましたが、写真によっては背骨やしっぽも加えた方がイメージがさらにしやすいかもしれません。
最後に正中線を描きました。
彫っていて混乱したときに、それぞれ見直すと、次のひと彫りを見つける手がかかりとなるでしょう。
③写真を印刷した紙を木の板に貼り付ける
先ほど用意した写真を制作する作品の大きさまで拡大または縮小印刷をします。大きさは自由ですが、彫刻刀を扱うのに慣れていない場合は大きめにした方が無難でしょう。
次に、写真を印刷した紙をこの木の板にのりでしっかり貼り付けます。はがれないようにのりはべたべたに塗り、木と紙の間にすき間ができないように押さえつけてください。木の厚みは1cmほどのものを使用しました(練習しながら彫るなら2cmでもよいです)。
④輪郭に沿って切り抜く
糸鋸(いとのこ)で輪郭に沿って、切り抜きます。上手くに切り抜けなかった場合は、あとで彫刻刀で輪郭を整えていくとよいでしょう。
⑤前後関係、立体感を大まかに出していく
まずは前後関係がはっきりとしているところを三角刀で線彫りします。
次に前後関係で後方の箇所を平刀などでおおざっぱに彫り下げます。
さらに全体的に立体感をおおざっぱに出していきます。手足の位置が分からなくなってきたら、迷わず木の上に描きましょう。描いてから彫ると、失敗も少なくなります。
少し細かくなりますが、口や鼻周りも彫っていきましょう。
全体を見て、バランスが取れているか確認しがら彫り進めます。違和感を感じたら、写真や骨と部位、正中線の資料を見直すなどし、整理していきます。
⑥写真をよく観察し、立体感を効果的に出していく
目など細かなところを彫っていきます。
写真と完全に似せなくても構いません。目を大きくしたり、顔を丸くしたりすると、また違った可愛らしさが出てきます。完成形はご自身で決めます。
⑦色を塗る
木の質感を残しつつ、うっすらとアクリル絵具で塗ってみました。
小さめのものを作り、ブローチ金具を裏につけるとちょっとしたアクセサリにもなります。
また、様々なポーズのものを試すと、立体への理解も深まります。
色々と試して楽しんでみてください。