包丁の鞘に龍を彫る
鞘の形状を活かしつつ、立体感を少し意識して出してみました。
裏面には、今後の成功する願いを込めたことわざを刻み、色を入れました。
「龍の雲を得る如し」。
龍は水の神とも言われ水のあるのところで力を発揮します。雲も細かな水の粒であり、雲のある環境では龍は天にも昇る力を発揮します。そのことから、英雄豪傑は、良い機会、環境を得れば、大活躍することができるという例えで使われます。
あとは表面に持ち主となる方のお名前を刻み完成。この鞘を持つ料理人が母国で成功を収めること願って。
海外から京都へ料理の修行に来られている方に、帰国の際に龍を彫刻した包丁の鞘(ケース)をプレゼントしたいという料理人からご依頼。
新しい船出に粋なプレゼント。こちらも力が入ります。
彫りを入れるにあたって注意すべきことは鞘の機能性を損なわないこと。鞘は刃先を保護し鋭利に保つともに、刃が周りを傷つけないように安全を確保するためにあります。彫りを入れることによって、この機能を失って意味がありません。厚み数ミリですので、彫りによって強度が極度に低下しないようにしなければなりません。
これらを考慮して彫りを入れた鞘の表面がこちら。