過去に木彫の基礎を身につけるために上達しながら彫る大切さについていくつか記事を書いてきました。これは少しでも納得のいくものをご自身の力で彫ってほしいと願ってのことです。

・上達しながら彫る(2015年7月)
・身体の変化(2015年7月)
・身体の変化2(2015年7月)
・目標を持つ大切さ、危うさ(2015年9月)

少しずつでも一歩一歩地道に歩んでいる方は問題ありません。ただ、上達を大切しない方がたまにいらっしゃいます。まるで自分は特別な存在で今の実力で十分と言わんばかりに彫ろうとしています。なぜか急(せ)いています。基礎がなく、急いた状態で彫り続けるとなると、厳しい状況に陥ることが予想されます。急くと、上達して自由になっていくという方向性も見い出せないかもしれません。

友人にこの話をすると、「中二病みたいやね」と言われました。

中二病 【チュウニビョウ】

思春期に特徴的な、過剰な自意識やそれに基づくふるまいを揶揄(やゆ)する俗語。具体的には、不自然に大人びた言動や、自分が特別な存在であるという根拠のない思い込み、またはコンプレックスなどを指す。名称は、その年代の子供が抱きがちな心理状態であることから、一過性の病気に見立てたもの。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

なかなか面白い例えだと思いました。中二病であるかはともかく、私の上達のイメージとは大きな乖離(かいり)があると思いますので、今回は例をまじえながら上達の大切さをもう一度丁寧に説明していきます。

例をまじえて上達の大切さを説明してみる

ピアノ

大人になってはじめてピアノを弾くとしましょう。やみくもに指をバタつかせても音楽になりません。聴覚、指の触覚など感覚を研ぎ澄ませる必要があります。練習曲を何度も弾いて、経験を積みながら上達していかなればならないでしょう。急いて適当に弾くと、聞いている自分が不快になり引退です。

野球

大人になって始めて草野球をやるとしましょう。いくら110km/hのカーブを投げたくてもいきなりは投げられません。筋力や投球フォーム・ボールの握りなどを身につけるためにも練習しながら上達する必要があるでしょう。急いて適当に投げると肩を壊して引退です。

木彫

大人になって始めて仏像彫刻をするとしましょう。彫刻刀で木を彫るとしても、木の性質や指の使い方を知り、彫刻刀をコントロールできないと、仏像にはなりません。立体の形を捉えるにもコツを掴まないと次に何をやればよいかも判断できません。急いて適当に彫ると無茶苦茶な形になり引退です。

上達度をグラフで説明してみる

私が経験してきた基礎上達は、自分ができないことをひとつひとつ丁寧に解消していく、するとたまに急激に上達するときがある、ということを繰り返すといったものでした。しかし、急いている方は私が思うに「今のままで十分」「適当にやっていれば勝手に上手くなってしまう」というグラフをイメージしているようです。取り組み方によって様々なグラフにはなるでしょうが、現状の自分をありのままに見ることは最低でも必要です。

上達に対する考え方の違い

上達に対する考え方の違い

上達することは自由になっていくこと

上達していくのことは自分自身が良い方向に変わっていくことですし、とても楽しいことです。できることも増え、質も高まります。上達を大切にしない理由がどこにあるのでしょうか。

 

自分の彫りたいものをある程度自由に彫れるようになって生徒さんは教室を卒業、これが私の理想です。ただ、卒業しても木彫仲間ではいてね。