基礎を固めて道をひらく

共通心得、心構え

 学問、音楽、スポーツ、木彫、何事も最初の基礎固めが大切です。木彫は、木材と彫刻刀を揃えれば誰でも容易にスタートできますが、基礎を固めないまま次から次へと彫っても進歩しませんし、良い作品は生まれません。
 教室入会後、精度の高い彫刻をするため、彫刻刀の持ち方、運び方を徹底的に特訓していますが、はじめからできる方はいません。それは当たり前のことで、複数の動作を統一させて体得する必要があるからです。
 自転車を乗ることに例えると分かりやすいかもしれません。

自転車を乗るが如く複数の動作を統一する

自転車に乗るとき、複数の動作を同時にしています。周囲の安全を確認し、体でバランスを取り、手でハンドルを操作し、足でペダルを漕いでいます。初めて自転車に乗る人は、それらを別々の動作と捉えているので、意識が分散して上手く乗れません。ただ動作に慣れてくると、各動作がひとつの動作として統一され、周囲の安全確認をするだけで、あとは楽に乗れるようになります。

自転車で分かりにくければ、利き手ではない手で箸を持ち、食事をすれば、すぐに分かるかと思います。各指の動作、つかむタイミングが分からず、食事がままならなくなることでしょう。複数の動作を統一させる必要があるのです。

箸を操るが如く複数の動作を統一する

 木彫の基礎固めも同じです。右手、左手の各指、手首を同時に意識してはじめは使っていきます。そして複数の動作が統一されたときに基礎固めが完成します。基礎は奥深いもので簡単にはマスターできません。はじめは70%ほどの完成度でも構いません。次第に良くしていこうとする心掛けが大切です。
 
 ここで時間をかけ基礎固めをすれば、途中で迷うことも、へこたれることも少なくスムーズに彫り進めることができるでしょう。しかし、現実にはマスターしたつもりになり、特訓後、先を急いでいつの間にか自己流で精度の低い彫刻をしてしまう方が意外と多いものです。この場合、まもなく、手こずるか手がつけられなくなってしまうので注意してほしいものです。
 長い目で見て無駄と思わず、まず基礎固めを徹底することを前提として木彫に取り組めば、道をひらけることでしょう。