木彫教室の生徒さんには、いつでも切味鋭い彫刻刀を使ってもらっています。

彫刻において、この彫刻刀の切味がとても大切だからです。

切味鋭いといっても、高価な彫刻刀を買わせようとしているわけではありません。

良く研げた彫刻刀を使うことを勧めているのです。

研ぐ理由

彫刻刀は、木を彫っているうちに切味が落ちていきます。しばらく使っていなくても切れにくくなります。

切れにくい彫刻刀を使っていると、余計な力が入ったり、刃の動きが思った通りにならなかったりします。

これは大きなストレスとなり制作に大きな影響を与えます。

そこで彫刻刀を研ぐ必要がでてきます。

研がなくても切味の落ちない彫刻刀があればよいのですが、今のところないので仕方ありません。

さぁ、研ごう

彫刻刀のための研磨機

彫刻刀のための研磨機

教室では写真のような機械式の研磨機で彫刻刀を研いでいます。

機械式を使う理由はとにかく早く研げること。

砥石で研ぐのに比べて圧倒的に早いのです。

生徒さんの分はサービスで私自ら研いでいますが、生徒さんの中で、自分で研いでみたい方には一から教えていますので、気軽にどうぞ。

切味は見せようとする為にあらず

たまに勘違いして、彫刻刀の切味を見せびらかそうとする人がいます。

これは、研いだ彫刻刀を他人に見せびらかすという意味ではありません。

作ろうとしている作品のかたちができあがっていないうちに、良く切れる彫刻刀でピカピカに仕上げて完成したと言い、あたかも良い仕事したかのように見せびらかせている人のことです。

彫刻は何よりもかたちが第一。表面的な処理は、そのかたちを生かすためのもの。

時間に追われ、このようなことにならないように、私も肝に銘じておきたいものです。

詩人で彫刻家の高村光太郎(1883年-1956年)は次のような言葉を残しています。

木を彫る秘密は

絶えず小刀を研ぐにあり、

切味を見せんが為にあらず、

小刀を指のごとく使わせんが為になり。

『美に生きる(P.50) 高村光太郎』

研いだ彫刻刀を指の一部のごとく使うこと。

頭の中のイメージと指が連動し、かたちができあがります。切味はこの連動に関係しています。