身体の変化

仏像彫刻心得、心構え

身体は正直です。鍛錬すれば発達し、何もしなければ退化します。

木彫においてもあてはまります。

初心者は利き手の数本の指だけで彫ろうとしますが、上達すると左右の手の指が全てが連動しはじめます。また彫り方によっては腕や上半身、下半身までも連動します。この感覚は頭でいくら考えても会得できません。実践の繰り返しという鍛錬でのみ会得できるものです。

立体感覚についても同様です。眼を鍛錬すれば、立体の見え方が変化します。ゆがみやずれ、形のバランスなどを把握できるようになります。これも繰り返しでのみ会得できます。いい加減な気持ちで立体を見ていると、いつまでもいい加減にしか把握できません。

こういった発達は年齢にはあまり関係がありません。今できていないということは、そういった身体の使い方を今までしていなかっただけ、ということがほとんどです。