彫り迷いを扱う技術
迷いは、未熟さの印ではない
迷いは、
何かが足りないから生まれるとは限りません。
十分に考えているからこそ、
簡単に決められなくなることもあります。
迷いは、未熟さの印ではありません。
関わろうとしている深さの表れでもあります。
迷いを消そうとすると、強くなる
多くの場合、人は迷いを
「解消すべきもの」として扱います。
早く決めたい。
はっきりさせたい。
白黒をつけたい。
けれど、
迷いは消そうとすればするほど、強くなります。
なぜなら迷いは、
「まだ決めていない」状態ではなく、
「決めきれないものを抱えている」状態だからです。
迷いは、すでに選び始めている証拠
迷っているとき、
頭の中で整理がついていないわけではありません。
ただ、
まだ言葉にできない重さが、
手の中に残っている。
それが、
迷いとして感じられている状態です。
迷いは停止ではなく、
選択が動き出している兆しです。
迷いを無くそうとしなくていい
だから、
迷いを無くそうとする必要はありません。
一気に決めない。
大きく彫らない。
戻れなくなる選択は、いまはしない。
迷いを抱えたままでも、
小さく手を動かすことはできます。
試す。
触れる。
確かめる。
それは答えを出すためではなく、
迷いの輪郭を確かめるための行為です。
迷いは、かたちを変えていく
そうしているうちに、
迷いは消えないまま、質を変えていきます。
足を止める迷いから、
動きを伴う迷いへ。
不安としての迷いから、
選択を支える迷いへ。
迷いは、
自分がどこに重さを感じているのかを、
正直に示しています。
迷いと、どう付き合うか
どう迷うかは、
制作と向き合う姿勢そのものです。
迷いを排除しない。
急いで解決しない。
迷いを連れたまま、
手を進める方法を探していきます。
そうできるようになっても、
迷いが消えるわけではありません。
ただ、
迷いに振り回されなくなります。









