菩薩
菩薩とは「悟りを求めるも者」という意味です。自らのためだけではなく、全ての人々を救済するために修行に励んでいることが、多くの人に受け入れられ、広く親しまれています。このため、菩薩像は単独で祀(まつ)られることも多いです。
菩薩像は、王族であった出家する前の釈迦の姿をモデルにしており、特徴としては以下のようなものがあげられます。
- 多くは上半身は裸で左肩から右脇にかかけて条帛(じょうはく)をかけ、下半身には裙(くん)をつけ、ショールのような天衣(てんね)を肩や腕に絡ませている [地蔵菩薩は除く]
- 髷(まげ)を結い、宝冠や頭飾をつけ、体には瓔珞(ようらく)、臂釧(ひせん)、腕釧(わんせん)などのアクセサリーを身につけている [地蔵菩薩は除く]
- ほとんどは女性的な柔和な顔をしている [馬頭観音(ばとうかんのん)は怒った顔]
聖観音菩薩(しょうかんのんぼさつ)
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「観音菩薩」は、衆生(しゅじょう)に応じて様々な姿に変身し、すべてを救済するとされている菩薩です。
十一観音、千手観音や三十三観音などはすべて変化観音で、変化する前の観音を「聖観音(しょうかんのん)」といいます。
十一面観音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)
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頭上に十一の顔があり全ての衆生(しゅじょう)に救済の眼を向けて、あらゆる願いを叶えてくれるとされている菩薩です。
馬頭観音菩薩(ばとうかんのんぼさつ)
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馬が草を食らうがごとく煩悩を食い尽くすとされている菩薩です。
頭上に馬の頭をつけており、胸の前で親指、中指、小指で立てて合掌する「馬口印(ばこういん)」を結んでいます。
千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)
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千の手にひとつひとつ眼があり、その眼で人々の苦悩を見て、すぐに救いの手を差しのべてくれるとされている菩薩です。
一般に、合掌する二本の手と四十本の小さな手で造られることが多く、小さな一本の手で二十五の願いを聞き届けてくれるとされています(25×40=1000)。
如意輪観音菩薩(にょいりんかんのんぼさつ)
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如意とはあらゆる願いを意のままにかなえる如意宝珠(にょいほうじゅ)を、輪は煩悩(ぼんのう)を打ち砕く法輪(ほうりん)を意味し、求める願いをすべて成就させるとされています。
手には如意宝珠と法輪を持ちます。
不空羂索観音菩薩(ふくうけんじゃくかんのんぼさつ)
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古代インドの狩猟具で羂索(けんじゃく=縄)を手に持っています。
羂索で苦悩するすべての人々をもれなく救いとるとされています(=不空=願いが空しくない)。
准胝観音菩薩(じゅんていかんのんぼさつ)
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「准胝」は清浄を意味し、衆生(しゅじょう)救済のために無数の仏を生み出したとされている菩薩です。
延命や子授けの功徳(くどく)があるとされています。
弥勒菩薩
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釈迦の後継者で、現在神々のいる兜率天(とそつてん)で菩薩として修行中であり、釈迦入滅後56億7千万年後に如来となり衆生(しゅじょう)を救うとされています。未来に必ず成仏することから「未来仏」ともいわれ、菩薩でありながら、弥勒如来とか弥勒仏と呼ばれることもあります。
奈良時代までは何かを考え込むような思惟像(しゆいじぞう)が多く、平安時代以降になると坐像や立像(りゅうぞう)が見られるようになります。
地蔵菩薩
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地蔵菩薩は、釈迦入滅後56億7千万年後に弥勒菩薩が現れるまでの無仏世界において、六道輪廻(ろくどうりんね)する衆生(しゅじょう)を救うとされています。
六道は、自らの行いのせいで繰り返す6つの世界、地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道から成り立っています。この世で悪行を繰り返せば畜生や地獄に生まれ変わり、善い事を積み重ねれば天に生まれ変わるとされています。
菩薩では唯一の剃髪(ていはつ)で、六道を巡って衆生を救済する象徴として錫杖(しゃくじょう)を持っていることが一般的です。
勢至菩薩(せいしぼさつ)
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智慧の光を司り、その光で衆生を照らし救うとされている菩薩です。
一般に、宝冠に水瓶(すいびょう=水差し)を付け、阿弥陀如来の脇侍(わきじ)として聖観音菩薩(しょうかんのんぼさつ)とともに三尊形式で祀られます。
文殊菩薩(もんじゅぼさつ)
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「三人寄れば文殊の知恵」(=特別に頭の良い者でなくても皆で知恵を絞れば良い考えが浮かぶ)でおなじみで、「智」の象徴とされる菩薩です。
一般に、獅子に乗り、剣と経巻を持っています。
普賢菩薩(ふげんぼさつ)
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教えと実践を兼ね備えた「行」(=行動)の象徴とされる菩薩です。
一般に、白象に乗っています。
虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)
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虚空(=果てしない広がり)のような功徳(くどく)を蔵しており、衆生(しゅじょう)に徳を与えて、願いを叶えるとされている菩薩です。
一般に、剣と宝珠を持っています。
日光菩薩(にっこうぼさつ)/月光菩薩(がっこうぼさつ)
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太陽と月を表し、ほぼ対称的な姿をしています。
一般に単独で祀られることはなく、薬師如来の脇侍(わきじ)として三尊形式で祀られます。