如来
如来とは「真理から来た者」という意味で、仏教では無上の存在です。
如来像は、修行して悟りを開いた釈迦をモデルにしており、他のグループの仏像にない特徴としては以下のようなものがあげられます。
- 粗末な衲衣(のうえ)をまとっている [大日如来は除く]
- 螺髪(らほつ)と呼ばれる巻貝状の粒々の毛がある [大日如来は除く]
- 肉髻 (にくけい)と呼ばれる頭頂部に盛り上がりがある
釈迦如来(しゃかにょらい)
釈迦をモデルにした、すべての仏像の原点。
釈迦如来の多くは右手の掌(てのひら)を前に向けてあげる「施無畏印(せむいいん)」と左手を下げる「与願印(よがんいん)」という印相(いんぞう)を結んでいます。
その他、両手の掌を上にして重ね合わせて(左手を下、右手を上)両親指の先が触れる「法界定印(ほうかいじょういん)」、右手、左手とも親指と他の指先をつけて輪をつくり胸の前にあげる「説法印(せっぽういん)」などがあります。
阿弥陀如来(あみだにょらい)
「阿弥陀」は無限の寿命と光明で人々を救うという意味があります。「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と念仏を唱えれば臨終のときに迎えに来て極楽浄土に往生できるとして、古くから日本で厚く信仰されています。
基本的な印相は「来迎印」、「阿弥陀定印」、「説法印」の三種です。
- 「来迎印」は、親指と他の指との先を合わせて胸の前に上げ、左手は掌を上にして膝上に置いたもの
- 「阿弥陀定印」は、両手の掌を上に向けて重ね合わせて、親指と人差し指で輪をつくったもの
- 「説法印」は、右手、左手とも親指と他の指先をつけて輪をつくり胸の前にあげたもの
釈迦如来像とほぼ同形ですが、印相や脇待(わきじ)で区別することができます。
薬師如来(やくしにょらい)
「薬師如来」は、病や貧困など人々に起こりえる災厄に寄り添い、国の災禍をも治すとされ、古来多くの人々から信仰を集めました。
奈良時代の像では他の如来同様に何も持ちませんが、平安時代以後は左手に万病を治す薬が入っている「薬壺(やっこ)」を持っています。一般に、印相は施無畏印・与願印を結ぶことが多いです。
大日如来(だいにちにょらい)
密教世界の中心に存在する最高の仏。智慧を象徴する金剛界と慈悲を象徴する胎蔵界のふたつの世界をおさます。密教では、釈迦如来も含めたすべての仏は、大日如来の化身とされています。
他の如来とは異なり菩薩のように長い髪を結い上げ、装身具で身を飾っています。
金剛界の大日如来は、左手で親指を中に入れて人差し指を立てた拳をつくり、その人差し指の第一関節から上を右手の拳で握り込む智拳印(ちけんいん)を結びます。
胎蔵界の大日如来は、法界定印(ほうかいじょういん)を結びます。